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2013年10月 3日 (木)

AKB48の握手会に学ぶ「特別」な対応

AKB48の握手会,有名ですよね。

でも私はもちろん行ったことはありませんし,何時間も並んででも握手したいような,いわゆる「推し」の子はいません(もしいたら,学生から気味悪がられますね…)。

でも,この握手会というイベントについてちょっと調べてみると,なかなか学ぶべきところが多々ある気がします。その意味では,覗けるものならちょっと覗いてみたい気もします。

今日は「握手会」についてちょっと考察します。

まず,この握手会なる現象について説明します。

彼女たちと握手をするためには,CDを購入し,握手会のチケットを入手しなければなりません。

一人で何枚も入手可能です。たくさんCD買えばいいわけで。

(このあたりはAKBの「選抜総選挙」と似てます。一人一票ではなく,何枚でも購入できる。「総選挙」が「選挙」でなく「株主総会」だといわれる所以です。)

で,握手会のチケットを複数枚持っている場合,一度握手して,また並び直すことも可能(それを「ループ」というらしい)。

とはいえ,何時間もかけて朝から並び,その上でもう一度握手したくてまた最後尾から並び直すには相当気合いが必要でしょうね。

でも,そのように気合いの入ったファンに支えられているのが,AKB現象なわけです。

そして握手はAKBメンバー全員とできるわけではなく,自分の「推しメン」の子のブースに並ぶことになります(メンバー2人で1組という話もありますが)。

そしてファンは自分の大好きな子と握手するだけのために,何時間も待ち続ける。

そして一度だけじゃ飽き足らず,二度三度と並び続けるということです。

一方で,AKBメンバーにとっては,朝から晩まで,ブースに立ってひたすら握手をし続ける,過酷な長時間労働。

彼女たちはいったいいつご飯食べたりトイレに行ったりするのでしょう?(誰か教えて下さい)

とにかく次から次へと,入れ替わり立ち替わり,めまぐるしく人が流れていくわけです。

一会場一万人以上入るところで行いますから,それぞれのファンが好きなブースを選ぶにしても,ループすることも考慮すると,1人あたり千人以上もの人と握手をし続ける。

笑顔で,両手で,心を込めて,ギュッと握手をする。これを10人や20人ならともかく,千人以上の人に行うということ。その結果,家に帰っても,笑顔のまま顔の筋肉が引きつって戻らなくなっているとか(真偽のほどはわかりませんが)。

そしてメンバーにとって握手会は,「選抜総選挙」に繋がる選挙活動なわけです。

例えば,推しメンだった子と念願の握手をしてみたら,対応が粗雑(しょっぱい対応=「塩対応」)でガッカリした…となると,次に投票するのはやめようってことになりますし,逆にそれまであまり注目していなかったけど,たまたま握手券が余って,列が短いブースがあったから並んでみたら,「神対応」だった!となると,「今日からこの子が推しメン!」となる。

まさに,選挙活動。

政治家にとって握手が命なように,AKBメンバーにとっても握手が命なわけです。

そして,握手会という「場」についてです。

長テーブル1つあるスペースにメンバーが1人入り,それぞれがパーティションで仕切られる(会場によって細かな違いはあるようですが)。

両サイドには,タイムキーパー1名と,時間になったらやんわりと握手を「はがす」人1名がいる。

そして,1人あたりの持ち時間は10秒。ブースに入ってから出るまでが10秒なので,実質的に握手できる時間は3秒ほどとのこと。

この間の時間は,基本的に,何をしてもいい。

ウインクしてもらってもいいし,投げキッスしてもらってもいい。

一緒に踊ってもらってもいいし,人生相談にのってもらってもいい(数秒でできるならですが)。

とにかく,わずか数秒の間に「勝負!」をかけなきゃいけないわけです。

ファンにとっても勝負。メンバーにとっても勝負。とにかくわずか数秒で勝負。

ファンにとっては,少しでも自分を印象づけようと,奇抜なファッションをしてみたり,緊張であがっても効率よく話せるように,自分が話すことを手に書いておく(「手カンペ」という)人もいるらしい。

一方,メンバーにとっては,わずか数秒の間で,「神対応」か「塩対応」かが分かれるわけですから,少しでもよい対応をしなければならない。

先日,いきつけのBarで,ベテランのバーテンダーさんが仰っていました。

「バーテンダーにとって大切なことは,ごく僅かな違いにこだわれるかどうかなのです」と。

スタンダードカクテルは,誰が作ってもそれなりに美味しくなる,「黄金の比率」でできている。でも,そのさらに微妙な違いにこだわって,少しでもより美味しくなるよう,工夫の余地を探っていくところに,技術の向上やプロ意識の向上が生まれる,ということ。

わずか数秒での対応というのは,ホントにごく僅かな差でしかない。

しかし,その数秒は,ファンにとっては朝早くから何時間も待ちわびた数秒。

かけがえのない時間なのです。

さて,ではその数秒の間に彼女たちは何をしているのでしょうか?

AKBの,押しも押されぬAKBトップアイドル,大島優子。(指原が一位とはいえ…)

youtubeでの映像を見ると,見事なレスポンスです。

ラップを踊り出す人にはラップで合わせ,ウインクの要望には抜群の笑顔でウインク。

さすが,子役から慣らしてきただけのことはありますね。

AKB総監督,高橋みなみの対応も,これまた素晴らしい。

テレビで模擬的にやって見せた握手会映像では,「髪型変えたんですね!」と行って見せたり,応援してほしいとのリクエストには大きな声で声援。

そして,元祖「握手会の女王」といえば,柏木由紀,とのこと。

ファンの名前を覚え,ループして次に来た時は,「あ,また来てくれたんですね,○○さん!」と名前で呼ぶとのこと。

さらに驚きのエピソードは,高校受験を控えた内気な少年とのやりとり。

「受験なので,励まして下さい」とのリクエスト。しかし少年は恥ずかしくて目もあわせられずうつむいている。

すると,「頑張ってね!」との声をかけてくれるかと思いきや…何も返事がない。

あれ…?と不安になって,おずおずと顔を上げる少年。

そこですかさず,「やっと目が合ったね! がんばってね!!」と笑顔。

いやはや,これは脱帽ですね…

わずか数秒の間に,あえて「待つ」時間を作り,目を合わせてから,最大級の笑顔で声をかけるとは。

この少年,一生忘れられない思い出になったことでしょう。

と,話をここで閉じたいところですが,その上を行く「超絶対応」の握手をするメンバーがいるとのこと。

youtubeで見たのですが,元ネタはテレビ番組。

SKE48の古畑奈和という子らしい。

スタジオで,男性タレントを相手に再現していましたが,これにはビックリしました。

(私の拙い文章では再現できないので,興味がわいた方は動画をご確認ください。)

長テーブルの真ん中でなく,入口よりのギリギリにポジショニングし,パッと両手を大きく前に広げて出迎える。あなたのこと,待ってました!と言わんばかりのジェスチャーで両手を大きく差し出して,「こんにちは~!」と。

そして,相手のピアスや髪型,服などを褒めたりして会話をしながら,長テーブルの長さ分,一緒に横に歩きながら,おしゃべりしながら握手。

両手で握った手は,ギューッと自分の方に引き寄せる。

握手された側の男性タレントからすれば,「心を引き寄せられるようだった!」と。

そして話の途中で「はがし」役の人が介入して,握手が文字通り引きはがされながら,名残惜しそうに目一杯手を振って,「バイバイ~!また,おしゃべりしましょうね~!」と。

そして次の瞬間,ピョーンと元気よくジャンプして,長机の入口側の端に瞬時に移動。と同時にまた両手をパッと広げて出迎える。

なお,これをファンの間では「古畑ジャンプ」と言うそうで,そう言われるくらい,いわばそのスタイルが彼女のトレードマークになっているのでしょう。

…まあ,これをされたら,いっぺんで彼女のファンになってしまうでしょうね。

ただし!この「かわいらしい」スタイルは,16歳の,妹系キャラの子だから似合うのであって,AKBメンバーの誰もが真似できるわけではない気がします。

ここには,己を知る,つまり自分を客観的に見るという大事な要素も含まれているわけです。

それが,自分にしかできないスタイルということ。

そして,なぜ彼女がその方法にたどり着いたか。

「自分がファンの人たちの立場だったら,どうされたらと嬉しいと思うか?」を考えた結果だそうです。

いやはや,16歳の女の子に負けた!と思いました。

自分にとっては,何千回の握手の1回。

しかし,待ち続けたファンの1人1人にとっては,かけがえのない,貴重な1回。

そこに温度差を作ることなく,何千回すべてに「貴重な1回」の思いを込めて握手ができること。

これが本当の「神対応」なのでしょう。

中学校や高校の教科の授業は,同じ内容の授業をクラスを変えて何度も行います。

でも,受けている生徒はそのつど違います。そのつど,感動を与える授業ができるかどうか。

大学教員にとって,研究室の学生は毎年変わります。そして毎年同じように学生の相手をする。でも,それぞれの学生にとっては,一生に一度の,最後の学生生活の節目。その人生の節目に寄り添った指導ができるかどうか。

特別支援教育に関わる専門職では,毎日毎日,相談を受けます。個々のケースは,自分にとっては「日常業務」の1つかもしれません。しかしその1人1人の親御さんは,方々を巡って,どこに行ってもつれない対応をされ,「最後の望み」をかけてここに来ているのかもしれません。

まだ二十歳前後の女の子たちの握手の対応から,私たち特別支援教育に関わる者は謙虚に学ばなければならない気がします。

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