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2012年7月29日 (日)

「遊び」の極意と「ナンパ」の極意

久しぶりのブログ更新なのに,いきなり何だ?と驚かれそうなタイトルですね。(笑)
ただ,ここで言う「遊び」は,「夜遊び」とか「女遊び(逆なら男遊び)」といった意味ではないです。
「子どもと遊ぶ技術」と「ナンパの技術」は実は似ているのではないか?ということです。
…といっても,これまたずいぶん不謹慎な!と怒られそうですが。

学生を見ていても,プロの臨床家を見ていても,パッと子どもとの距離を縮められる人はいます。私のように不器用な人間からすれば,ある種の天性の才能のようなものを感じてしまいます。
ここで紹介する,遊びの<極意>とは,そうした「センス」に頼るものではありません。誰でも確実に子どもと信頼関係が結べるようになるための方法論です(もちろん正確には,本当に「誰でも」というわけにはいきませんが)。
ある子どもがオモチャを使って1人遊びをしているとします。
この子どもは,自分とは初対面です。
1.まず,子どもが遊んでいるオモチャと同じ類のオモチャで,子どもの近くで「1人遊び」をします。積み木がゴロゴロ転がっていたら,その転がっている中にある,その子が今使っていない積み木で。あるいは砂遊びをしていたら,子どもが作っている砂山の隣に別の砂山を作る,みたいなイメージで。
2.その次に,そのオモチャとオモチャで接触を図ります。1から2へのステップは,あまり無理せずあせらずに。あまりその子がイラッとこないよう,さりげなく,あるいは遠くのものから。積み木なら,その子の作り中の積み木の作品を,邪魔しないようにアシスト。砂場なら,お互いの山の間を道でつなぐとか。
3.今度は2の逆パターン。その子に,自分のオモチャへの関わりを促す。自分の作りかけの積み木に,その子が持っている積み木を乗せてもらうとか,砂山なら,難攻不落のトンネル工事を,その子に反対側から貫通してもらうとか。このあたりは,その子の言語や認知の発達段階によって,内容は変わります。
4.いよいよ共同作業。同じ目標に向かって,同じオモチャで遊びます。一緒に積み木を積み上げたり,大きな砂山を一緒に作ったり。
 4までくれば,もう大丈夫。遊びを通じて,志を同じくする「同志」としての絆ができます。1から3までは,目線を合わせるのが苦手な子の場合は,目を合わせずに進めてもよい。もちろん4も,目を合わせずに進めてもよいのですが,作業過程で,何度か目が合うことでしょう。そして共同作業を通じて,「目と目で通じ合う」関係ができあがります。目で会話できるようになれば,心はつながります。

…という感じです。
普通によく行われている方法とも言えますし,私の場合,学部3年生の時の専門の講義の1つであった,小川仁先生の講義の中で学んだ方法でした。
私の場合,決して子どもと遊ぶのが得意なわけでもないので(どちらかといえば,正直,「めんどくさい」…?),パッと子どもの遊びの世界に飛び込んでいけるわけではないのですが,やっぱりこの業界にいると,特に聾重複のお子さんの支援などで,「実際に見に来てほしい」と言われることもあります。そこで,自分でも関わってみなきゃならないような時に,この方法を使うと,たいてい上手くいきます。
ここで重要なのは,こうした関係作りが必要なのは,普段から知っている子どもとの間柄ではなく,初対面の時だということ。
「親しい間柄なら仲良く遊べるだけど…」と言う人もいたりしますが,それは当たり前の話。
大人同士だってそうです。「異性と話ができない」という人だって,幼なじみとか,時間をかけて仲良くなってきた人となら,普通に話ができたりします。これも,当たり前の話。

さて,上記の「極意」(というのは大げさですが),何かに似ているよなぁ…と思ったら,よくある恋愛の(というかナンパの)指南本と似ているんですよね。
ナンパというと,見ず知らずの人に,「こんにちは!今どうしてるの?ヒマだったら一緒に遊ばない?」などと軽いノリで声をかける行為,というイメージがあるかもしれません。しかしそれは二重に誤りです。
まず第一に,こんな声のかけ方じゃ,まず,女性はついてきませんよね。(^^ゞ
…ま,それはともかく(今回の本題ではないので)。
それより重要なのは,これはいわゆるストリートナンパであり,難易度が最も高く,ベテラン(?)のナンパ師でも,100人声かけて次の展開まで持ち込めるのは一桁だったりするもので,そもそも上手な「ナンパ」とは,相手に「警戒心」を抱かせないようにすること。つまりは,相手から見れば,「ナンパ」とすら思われていないアプローチが重要なわけですね。

ちなみに,女性から見て,「ナンパ」=(成功率の低い)「ストリートナンパ」のイメージになるのか?これは2つの理由があります。
第一に,そこそこ整った顔立ちの女性であれば,実際に「街で声をかけられる」経験の1つや2つ,普通にあるから。これは当たり前で,半分趣味で「ストリートナンパ」をしているベテランナンパ師さんは,1人や2人を射止めるために,何十人はおろか100人に声をかけることもいといませんから,ダメもとでヒョイヒョイ声をかける男性はそれなりあちこちにいるわけです。新宿や渋谷は当然ですが,近所の高崎駅周辺でも時々遭遇します。(笑)
第二に,そうでない(上手な?)「ナンパ」は,そもそもナンパだと悟られないようにアプローチしているわけですから,女性からすれば,それはナンパとは認識されていない。つまり「ナンパされた」数にカウントされないわけです。

さて,話を戻すと,では,上手な「ナンパ」の方法はいかに?
基本的には,上記の「遊び」の極意と同じです。
例として,バーを舞台にしてみましょう。
この場合のオモチャならぬ媒介者(媒介物)は,バーテンダーさん,あるいは,お酒。
当然ですが,いきなり,少し離れた席に座っている見ず知らずの女性に対して,「あちらのお客様からです」などとバーテンダーさんを介してお酒をごちそうする,なんてのは,安っぽいドラマや漫画の世界でしか,ありえません。(笑)
そんなのは,媒介しているとは言えません。「下心丸出し」爆弾に,「警戒心全開」ガードで返されます。
ちなみに,親しいバーテンダーさんに,「そんなシチュエーションってありますか?」と尋ねたところ,「そういうことを引き受けてくれるお店もあるでしょうが,私は,トラブルを避けるために,そのような注文自体をお断りしています。もちろん,お客さん同士が仲良くなってからなら,話は別ですが」とのこと。
そしてここに,ヒントも隠されていますね。「お客さん同士が仲良くなってからなら」です。
その日に知り合ったばかりだとしても,仲良くなってからなら,それは「あり」なわけです。
まだ仲良くなってもいないのに,イキナリ見ず知らずの男性からお酒をごちそうするなんて,初対面の引っ込み思案な子がミニカーで遊んでいるところに,イキナリ横からガーンとミニカーのダンプカーをぶつけるようなものです。泣かしたいなら別ですが。
では,どうするか。
その女性に話をふるのではなく,バーテンさんを介して「話をする」わけです。
例えば,明日の天気の話をその人とバーテンさんがしている。そこで,「マスター,そういえば明日はまたかなり暑くなるって,さっきラジオで言ってたよ」と言うとか。
そこで,ノリのいい女性だったら,向こうの方から,「え,そうなんですか?」と話に入ってくるし,そうでなくても,バーテンさんを介して,「かなり暑くなるようですよ」とその女性に話が伝わる。
飲んでいるお酒を通じて共通点を見つけるのも,ありです。
例えばその女性が,カシスオレンジを頼んだとする。
その時,「あ,そういえば先日,マスターに作ってもらったカシスオレンジ,一緒に来た女性陣たちが,『すっごくおいしかった!やっぱり居酒屋とは全然違う!』って,後で,感動してましたよ。」と話してみる。
そこで,先ほど同様,ノリのいい女性なら,「え!ホントですか?」と聞いてくる。
そうでなくとも,その後にさらに話を続けて,「同じカシスオレンジでも,全然違う,その違いはどうやって出るんですか?」と,バーテンさんに聞いてみると,たいていのバーテンさんはプロのこだわりを持ってお酒を作っていると同時に,会話も含めてサービス業だと意識していますから,「違いですか?例えばですね…」と丁寧に説明してくれる。
そうすると,今まさにカシスオレンジを飲もうとしている女性も,「自分の問題」になるので,「ふーん,そうだったんだ!」となる。ここで初めて,バーテンさんとカシスオレンジを通して,「問題意識の共有」が生まれるわけです…なんだか学問的ですね。(笑)
そして,その女性が一口飲んだ時に,「あ,ホントだ!すっごくおいしい!」とか言った時に,「でしょ!」と,<その女性の方を見て>大きくリアクション。
まさに,共同作業を通じてのアイコンタクトの成立。そして共感。
これ,イキナリ「このマスターのカシオレおいしいから,ぜひ飲んでみて!」と進めたら,どう考えてもまずいわけです。
イキナリでなく,必然性があっての結びつきということがまず何より重要。そしてもう1つ重要なのは,その女性の方から興味を示していること(これは,「遊び」の極意のステップ3が重要なのと同じです)。こちらはあくまでバーテンさんに会話を振っているところに,女性の方から会話に参入してきているからこそ,相手の女性の警戒心は非常に薄れているわけです。そしてもはやそこで成立した会話は,「ナンパ」とは映らない!

どうでしょう? こうして見てみると,両者は実に共通点が多いと思いませんか?
ということは,プロの臨床家は,異性の扱いも上手…?!

PS.なお,ここに登場するバーおよびキャラクターは,仮にモデルとして思い浮かぶところがあったとしても,もちろんフィクションです。(笑)

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コメント

久々のブログ更新ですね♪

前回の記事のコメントに『次回は7月ですね☆』みたいなこと僕が書いたみたいで、ビックリ!!

きっちり7月と4月の年2回更新ですね(笑)

では、次回2013年4月楽しみにしてます
(^∀^)ノ

ちゃおずさん,コメントどうもです!
言われてみれば,そうでしたね。
意識していませんでしたが。
ブログは,何か急に書けそうなネタが思いついた時に書いているので,次回はいつになることやら。
Twitterができたことで,ちょっとしたことはそちらでつぶやけば,それで間に合ってしまいますしね。

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