クラウドコンピューティング(iPad発売!)
いよいよ本日,iPadが日本で販売されますね。
iPadの登場で,クラウドコンピューティングが飛躍的に加速化するでしょう。
この「クラウドコンピューティング」という言葉を意識し始めたのは最近のこと。
自分が求める方法を探っていったら,いつの間にか,ネットワーク内にデータをためて仕事をするようになっていました。
そしてそうした方法をどうやら「クラウドコンピューティング」と言うらしいということに最近気づいた感じです。
要するに,ネットワーク上にデータを置き,パソコンなどはあくまでその端末と考え,サーバーにアクセスしながら仕事をする,ということでしょうか。
おそらくこの方法を広めることになった立役者は,大きく言えば2つ。
1つは,Googleメール。正確には,「メール」だけでなく,「カレンダー」や「ドキュメント」,「タスク」など,Googleが行っているネットワーク上の一連のサービス。
そしてもう1つは,iPhone。つまりはネットワークにアクセスしうる携帯端末ということです。
この携帯端末にはその他の後続機種もありますが,何しろ火付け役がiPhoneであったことには,疑いの余地はないでしょう。だから,「立役者」はやはりiPhone。
そしておそらく,このクラウドコンピューティングは,iPadが出たことで,劇的に加速化し,次のステージに入るでしょう。
iPodは,ある意味,「単にiPhoneやiPod Touchを大きくして電話機能を外したもの」です。
しかし,それは「単に…だけ」という言葉では収まらない,大きな可能性を持っていると思います。
Appleは常に,「新しいモノ」ではなく「新しい市場」や「新しいライフスタイル」を提案してきました。
iPodもまさにそうです。
それはおそらく,クラウドコンピューティングに首を突っ込んでいる(というか,実践している)人ならば実感(というか,予測)できることなのではないでしょうか。
私にとっても,「こんなものがあればいいのに…」と思っていた,そのものズバリが出た!という感じでした。
ネットワーク上にデータをおいておこうと考える人にとっては,紙媒体の資料は,いつ無くなるかもわからず,そして複数箇所で見ることもできないものなので,とても危なっかしく感じます。
だから,なるべくスキャンしてPDF化したくなる。
そしてそれは,ローカルのPC上だけには置かず,ネットワーク上に置いておきたくなる。
そうすることで,家のPCでも職場のPCでも読めますし,それどころかウェブにつながる端末でありさえすれば,どこでも読むことができるわけです。
「ネットワーク上にデータを置く」ということを,誰でも気軽にできるようにしてくれたのが,Googleメール。そしてそれに続く,Googleドキュメント。
作業中のファイルを,どこでも更新できるように,パソコンを閉じる際に自分宛にメールに作業中のファイルを添付して送っている,という人もいます。
Googleメールは大容量ですし,検索機能が優秀ですから,それならいつでもネットにつながりさえすればファイルを確認できますし。
加えて,ワードやエクセルの添付ファイルを見るだけなら,通常の携帯電話でも見られることも助かるところです。
そして,Googleメールでは物足りなさを感じる人たちは,もろもろのネットワークディスクサービスを利用していることでしょう。各メーカーで,いろいろ出ていますから,これは好みの問題かもしれません。
私にとって,これを使ったら手放せない!のが,SugarSync(以前,ブログでも紹介しました)。
昨日も,移動中に「急ぎでファイルを送ってほしい」とのメールをもらったので,iPhoneからパソコンの中のファイルをつまんでメールで転送することができました。それも転送時間も一瞬!です。これは本当に,なんだか魔法のようです。
実際は,本当にパソコンにアクセスしているわけでなく,ネットにつながっているパソコンとSugarSyncのサーバーが常時シンクロしていて,常に最新のデータがサーバー上に入っており,そこにアクセスしているわけですし,一瞬でメールが送れるのも,添付をして送っているのではなく,先方でダウンロードしてもらう情報を送っているのですが,それが見た目上はあたかも自分のパソコンを操作しているように見えるので,感動的なわけです。
有料でサービスを利用しているので,100Gを越える大容量になっています。
そして,3台のパソコンをシンクロしているので,このおかげで,いちいちUSBメモリにデータを移す必要もなくなりましたし,パソコンを持ち歩く必要もなくなりました。
(パソコンを持ち歩かない!というのも,クラウドコンピューティングの目指す形の1つか?)
次に,メモ帳感覚で使えるEVERNOTEも,最近は重宝しています。
これも,Mac版とWindows版とiPhone版のアプリケーションがあり,作成結果がネットワーク上に自動保存されるので,とても便利。
メモを作成のにも便利ですし,このブログのように,やや長めのものも,実はEVERNOTEで書いています。ちょっとした空き時間を見つけては,数日かけて書いていました。
また,最近は,文書資料などのPDFの保存にもこれを使っています。
カレンダーも,基本はGoogle。
iPhoneは,Googleカレンダーと同期するカレンダーアプリがいくつかあるので,そのどれを選ぶかは好みの問題。あわせて,ToDoリストも,Google。
これらはメールとリンクして使えるメリットもあります。
これもやはり,どこでも同じものが見られることが重要ですね。
特に手帳は,ダブルブッキングを避けるためにも,「ポケット1つ原則」が重要だと痛感しています(手帳へのこだわりや,ファイル保存へのこだわりは,野口悠紀雄先生の『「超」整理法』の影響を多分に受けています。)
そして身近なところで最近,急にGoogleでの共有化を進めているのが,障害学生支援室。
4人が2つのキャンパスで交代勤務をしているので,実にめまぐるしく情報が飛び交い,そして見事に共有化しています。
私の方が先に始めたのに,あっと言うまに追い越された感があります。
やはり,「窮すれば通ず」ですね。困っているから,使いこなせるようになる。
支援室の専門支援者は,皆が機械関係が得意なわけではなかったはずなのに,PCテイクで連係入力や無線LANを使うようになり,その学生支援者の養成をしなければならないこともあり,みるみるうちに情報技術を使いこなしています。
実に,あっぱれ!
さて,そのようにして,ネットワーク上にデータをおくようになると,次に考えるのは,「できるだけ紙媒体の資料は使いたくない」ということ。
確かに紙は閲覧性が高いのですが,「一枚しか手元にない」ことには大きな不安を覚えます。
そこで,できるだけスキャンしてPDF化したい。
そしてその相乗効果として,「PDF化されているのであれば,『いつもの机』でなくても仕事ができる」と考える。
そして,「閲覧したり,ちょっとした情報更新であれば,パソコンを使わずに,小型携帯端末でもよいのではないか?」と考えるようになる。
その小型携帯端末にあたるものが,iPhoneだったわけです。
だから,「iPhoneが1つあれば,パソコンをもたずとも仕事ができる」という発想にもなるわけですね。
書店に行って,iPhoneとかクラウドコンピューティングをキーワードにして本や雑誌を探すと,いろいろ出ています。つまり,そのような形態で仕事をしている人はすでに増えているということ。
気がついてみたら,自分も(ある程度は)そんな方法になっていました。
おそらく,出張が多かったり,キャンパス内での移動が多かったりして,あまり自分の机に向かっていない中で,そんな形にたどり着いたのでしょう。
そんな,クラウドコンピューティング族にとって,次のほしいものは,おそらく同じだったのではないでしょうか。
まずは,自在にPDF等の書類を閲覧できるビューワーです。
iPhoneはやはりPDF書類を自由自在に見るには,小さすぎるということ。
その上で,(フリック入力を駆使しても)やはりiPhoneはタイピングがしずらいので,もう少し入力が楽なものがほしいと言うこと。
メールを打ったり,ブログを書いたりやTwitterでつぶやいたり,EVERNOTEなどでメモを書き込んだりするのにしても,やっぱりめんどくさい。実際,私はちょっとしたメールを返信するなら,いわゆる一般的な携帯からGoogleメールにアクセスして送っています。携帯なら,画面も手元も見なくてもだいたい正しく打てますし。
そんな希望がありながらも,ネットブックの遅さや大きさはいらない。
まさに,そんなニーズを見透かしたかのようなiPad。
さすがアップル!
大学生の時にClassicを買ってから,もう20年近くMacを使い続けています。
途中でVAIOに浮気をしたこともありました(OSXに移行する時期に,ちょっと躊躇したんですよね)。でも結局,戻ってきてしまいました。
アップルは,モノを作るのではなく,常に新しい市場を作ってきました。
特にSteve Jobsが復帰してからは顕著です。
iPodは,ネット上の音楽市場を開拓。
iPhoneは,携帯の市場を一新。他社も,「スマートフォン」を揃えざるを得なくなりました。
iPadは,単にiPhoneを大きくしたものではなく,「さまざまな書類を電子媒体で見る」ことで,出版市場を大きく変えようとしていると言えます。「ペーパーレスの実現」もこれで現実味を帯びてくるかもしれません。
iPad,まだまだ可能性を秘めていると思っています。
その可能性は,アップルではなく,それぞれのアプリの開発者が切り開いてくれるでしょう。
そしてiPadの先に,何があるのでしょう? まだまだ目が離せません。
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こんにちは、金澤先生。
職場がやっとパソコン一人一台体制になりました。で、次に目指すのは職場のGoogle化。そうなれば、ろう者の教員にとっても働きやすい職場になるんでないか思っているのですけどねぇ。
投稿: 細井@新潟聾 | 2010年5月30日 (日) 07時16分