« アラスカ物語 | トップページ | 群大聴覚障害学生支援リニューアル! »

2010年4月 6日 (火)

情報保障ツールとしてのiPhone

新年度が始まりました。
支援室は新体制になり,いろいろとニュースもあるのですが,ひとまず昨年度の振り返りを。
昨年度は,大きく支援室の支援体制が強化された年でした。
職員が4名体制になり,荒牧と桐生の2つのキャンパスでの情報保障の質を大幅に引き上げました。
特に,桐生キャンパスでの支援は,大きく変わったと思います。
(支援室職員の皆様,感謝!)

昨年度実施したことの中で,とりわけ印象に残っていることの1つとして,情報保障ツールとしてのiPhoneの運用があげられます。
これは,筑波技術大学の三好先生の技術支援と,ソフトバンクモバイル株式会社さんの機器提供のもとで実現にいたったもので,筑波技術大学,NPO法人長野サマライズ・センター,群馬大学,東京大学,ソフトバンクモバイル株式会社の5機関による共同研究で実施しました。

これを実際に使用して情報保障を行った聴覚障害学生からは,「4年間の情報保障の中で,最もインパクトがあった!」との感想を得ることができました。

大きな特徴としては,
・小さい→ノートの上や脇にちょこんとおける。目立たない。
・移動しながら見ることができる。
・音声通話機能と字幕表示(Webブラウザ)が同時に利用できるので、遠隔地に音声を送信しつつ字幕を受けることができる。
・操作が簡単
といったところでしょうか。

当初予定しなかった意外な発見としては、移動を伴わない授業場面であっても、使い勝手がいいということ。
机の上の、ノートの脇におけるので、字幕を見ながらノートがとれるので、PCで表示するこれまでの方法よりもむしろ目線の移動が少なくてすむのがポイント。
そして小さくとも近くにおけるので、文字が小さめでも意外と見るのに苦にならないようです。

もちろん、移動を伴う場面では、本領を発揮しました。
特に、知的障害特別支援学校での教育実習では、子どもの動きにあわせて移動しながら、アームバンドにつけたiPhoneで字幕を受け取れますし、加えて、遠隔地から字幕を送っているので、教室を移動しても大丈夫。
他にも、体育館での「身体表現」の授業でも活躍しました。
このときは、3Gによる遠隔地配信ではなく、PCテイカーは同じ体育館にいて、無線LANで字幕を送りました。音声はFMトランシーバーで。

今は試していませんが、防水のジャケットもありますから、プールでも使えるでしょうね。

群馬大学ではこれまでも、文字による情報保障を行う場合には原則的にPCテイクを採用してきました。
手書きのノートテイクは、PCテイクがどうしても難しい場面だけ、やむを得ず用いるといったくらい。
iPhoneの登場により、「やむを得ず」の状況がほとんどなくなりました!
あえて言えば、機械やネットワークにトラブルが発生した時くらいでしょうか。

それともう1つ、注目に値することがあります。
遠隔地で字幕を受けるわけですから、教室内には支援者はいません。
ですから、遠隔地とのやりとりも、教室内で必要に応じて先生にマイクを渡したりすることも、すべて聴覚障害学生自身が行わなければいけません。
このことが、結果的に、聴覚障害学生自身が情報保障に主体的に関わることを促すことになったわけです。
つまり、iPhoneが、「エンパワーメント」の道具になったということ。

その一方で、逆に目立たないという特徴に注目すれば、まだ障害を人に伝えたくない…という学生への支援にも有効です。

消極的な学生への支援にも、積極的な学生への支援にも、どちらにも有効だといえます。

さて、2月から3月にかけて、たて続けに、iPhoneが大活躍しました。

ある時は、聴覚障害のあるお子さんの、中学校の卒業式で(無線LANで通信、テイカーは群大の学生)。研究室の学生の妹さんの情報保障ということで、学生が使い方を必死で覚えて、リハーサルも何度もやって、本番に臨んだそうです。

またある時は、卒論発表会と、その後の研究室の打ち上げで。
打ち上げでの情報保障は初めての経験で、聴覚障害学生は「話の幅が広がった!」と感激していました。遠くの席の雑談が字幕に飛び込んでくるわけですから!(テイカーは大変だったでしょうが…)

さらに、草津温泉で行った研究室の春合宿の、卒論検討会でも。
合宿はほとんど遊びですが(笑)、ちょっとは真面目な時間もあるのです。でも、その時間だけのために、大学からテイカーを呼び寄せるわけにはいきません。でも、iPhoneがあれば、問題解決。
荒牧キャンパスにiPhoneで電話をかけ、そして荒牧キャンパス内でテイクしてもらった字幕をiPhoneに送ってもらいました。複数のiPhoneがあったので、表示は同時に複数箇所で。話し手にも見てもらいながら、聴覚障害学生が別のiPhoneを見る、みたいなこともできるわけです。

そして締めくくりは、卒業祝賀会!
晴れの舞台くらい、友だちと乾杯したり、好きなようにおしゃべりしたいもの。
でもその一方で、祝辞やら出し物やらはありまして、その内容も知りたい。
ということで、iPhoneはここでも大活躍でした。
写真、載せます。

おっと…もちろん、iPhoneも大活躍ではありますが、遠隔地で文字入力するのは、通常以上にテイカーに負担がかかります。なにより大活躍してくれたのは、テイカーさんですね。心から感謝!
Iphoneiphone


Iphone


« アラスカ物語 | トップページ | 群大聴覚障害学生支援リニューアル! »

聴覚障害学生支援」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/212191/48003645

この記事へのトラックバック一覧です: 情報保障ツールとしてのiPhone:

« アラスカ物語 | トップページ | 群大聴覚障害学生支援リニューアル! »