アラスカ物語
新田次郎『アラスカ物語』(新潮文庫)を読みました。
新田次郎といえば,『八甲田山死の彷徨』や『劒岳 点の記』で有名ですが,このアラスカ物語もなかなか読み応えがありました。
「日本から来たエスキモー」として,「エスキモー」の危機を救った日系一世フランク安田の半生を描いた作品です。200人以上の「エスキモー」を引き連れての新天地移住を成功させたことで,ジャパニーズモーゼと言われているそうな。
八甲田山などと同様,実在した人物をもとに小説化したもので,それゆえの迫力もあります。
「日本人」,「白人」,「エスキモー」,「インディアン」(表現は小説のまま)といった多文化共生という観点からも,非常に興味深いものでした。
なぜ,日本人であるフランク安田が,「エスキモー」に受け入れられたのか。
肌の色という身体特徴と生肉を食べるかどうかという文化的差異。
聴力という身体特徴と手話を使うかどうかという文化的差異という,聴者と聾者の問題にも通じるところがあるかなと思って読みました。
異文化,他文化の問題に関わっている人たちに,ぜひお勧めです!
« 「本気」 | トップページ | 情報保障ツールとしてのiPhone »
「書籍・映画・音楽」カテゴリの記事
- ドラマsilentから…「聾者の役は聾者がやるべき」か?(2022.11.15)
- 書評掲載!(「解放社会学学研究」第28号,2015)(2015.04.17)
- 書評(ブックガイド)掲載!(「障害学研究」第10号,2014,pp251-253)(2015.01.09)
- 単著『手話の社会学』刊行! …2013年の大きなできごと その2(2013.12.28)
- 『人生がときめく 片づけの魔法 』(サンマーク出版)(2011.04.27)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント