「それが大事」に学ぶ認識論
昔,流行った,大事MANブラザーズバンドの「それが大事」という曲,ご存じでしょうか?
その中に,こんな歌詞があります。
ここにあなたがいないのが淋しいのじゃなくて
ここにあなたがいないと思う事が淋しい
なかなか,すごい歌詞です。
まさに,認識論ですね。
「あなたがいない」という事象そのものが人を淋しくさせるのではありません。
「あなたがいない」という事象に対して,それを認識することが,淋しさを引き起こすわけです。
その場にいない人なんて,砂の数ほどいます。
しかしそれをいちいち淋しいとは思っていない。
「あなた」をここにいてほしい存在だと思い,そのあなたがここにいないと感じる。そうした認識によって,淋しさが引き起こされるわけですね。
コブクロの「miss you」という曲にも,ちょっと興味深い一節が出てきます。
もし願いが叶うならば「もう一度…」なんて言わないよ 出会う前の2人に戻しておくれ
存在さえも 知らぬ ままでいさせて 出逢うはずも無いほど 遠い街へ
一見,ちょっと逆説めく歌詞です。
でも確かに,そもそも出会っていなければ,そして出会う可能性がなければ,「miss(あなたがいなくて淋しい)」という感情は起きませんね。
ただ,そこまで好きになった人に対して,「あなたと出会ったこと自体をなきものにしたい」とはなかなか思えないわけで,そこにこの歌の逆説っぽさがある気がします。
「miss you」,比較的初期のコブクロの歌ですが,なかなか切なくて良い曲です。
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