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2008年7月11日 (金)

遠隔地連係入力による聴覚障害学生支援

 群馬大学では,桐生キャンパスの工学部在学の聴覚障害学生への支援の方法として,荒牧キャンパス在学の登録テイカーを活用したIPTalkのキャンパス間連係入力を開始しました。

 方法ですが,1人は桐生キャンパスの教室内にいて,もう1人は荒牧キャンパス内の障害学生支援室にいて,連係入力をします。この方法が最も人件費の削減に貢献するだろうと考えてのことです。当たり前の話ですが,人件費の削減といっても,「遠隔地支援を行わない」という選択以上に削減することにはなりません。セッティングを双方のPCテイカーが行うことで,同一教室内で連携入力を行う方式(すなわち群大での通常の方式)と変わらない人件費におさめるという意味です。

 音声は内線電話をSoundStation2(音声会議システム)につないで接続し,VPNルータを使ってIPTalkのLANを組みます。
 Skypeを使って映像配信もします。音声もSkypeを使う方法も検討していますが,キャンパス間で連携入力を行うので,まずは最も音声遅延の少ない方法で実施することにしました。

 このことについて,7月9日の毎日新聞で取り上げてもらいました。
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20080709ddlk10100122000c.html

 当初,「システムの新しさ」について,記者の方は繰り返し質問をされたのですが,こちらとしては,IPTalkをはじめとする,先駆者の作られた技術に乗っかる形でシステム構築をしましたし,遠隔地配信の技術自体は筑波技術大学さんなどでの事例もありますので,「システム自体は何ら新しくもない」ことを強調する必要がありました。
 むしろ,今回の事例に新規性があるとすれば,特別な研究費などの予算によらず,通常の障害学生支援の経費の範囲内で,恒常的な運用を行ったことにあると思います。
 同一大学内で,支援体制に濃淡(記事では「ボランティアの偏在」との表現になっています)があり,学内問題としてそれを解消するための一手段として,遠隔通信技術を活用した,ということです。

 記者さんも,相当ご苦労されたと思います。内容について,若干は事実と異なる部分もありますが,大筋は外していないと思います。

 ちなみに主な修正箇所としては,以下の4箇所です。
・謝金を払っているので,「ボランティア」ではない。
・教室内で通常行っているネットワーク接続は教室内で使用するPCのみのネットワーク。
 今回の事例はインターネットではないのですが,学内LANを経由します。
・音声送信に使う電話回線はデジタルではなくアナログ。
・「全国初」というのは,遠隔地支援の「運用」自体が全国初なのではなく,同一大学内の障害学生支援に恒常的に用いる方法としては,という意味です。他大学支援の運用例は,筑波技術大学さんが実績を積み重ねていますし,同一大学内での運用でも,研究費を使った運用では,これまで群大でも実施してきましたので。
 今回のポイントは,通常の支援予算の中で実現する点にあると思っています。

 あくまで,遠隔地支援が目的なのではなく,支援が必要な授業について,きちんと情報保障がつけられることが目的です。今回の遠隔地支援の事例がきっかけで,他大学でも同様の試みが始まることを願っています。

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