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2008年3月21日 (金)

アリスの丘

先日,軽井沢にある「アリスの丘」に行ってきました。
「天国にいちばん近い島」の著者,森村桂さんが作ったお店です。
前から行きたいと思っていながら,森村さんが生きておられる間に行くことができませんでした…
2004年の9月に永眠されたというニュースを聞いたときは,自分のフットワークの遅さに,凹みました。
「天国にいちばん近い島」を初めて呼んだのは,たしか中学生の時でした。
行ったこともない島を「天国にいちばん近い島」だと決めつけて,そして見ず知らずの貿易商社の社長さんに手紙を書いて,次々に道を切り開いていくさまは,その後の自分の生き方に,大きな影響を与えてくれました。
その軽快なタッチも好きだったので,それから時々森村作品を読むようになりました。
中でも,「ゴンにもらった首飾り」は,一番好きな作品です。
大学生であるモリが,児童養護施設でボランティアをし,そこでフロージ(浮浪児)のゴンと親しくなっていくもの。
読んだときは,自分が大学生で,障害児教育を専攻していたので,自分の状況に照らし合わせながら読めたことも大きかったと思います。
そしてやはり森村さんらしく,どんどんとゴンの世界に飛び込んでいく。そのあたりは,「天国にいちばん近い島」と通じるものがあります。
そして舞台が私の実家,新宿,大久保周辺だったことも,大きかった。読んだ当時は,まだ実家に済んでいましたし。
そして,ある作品を通じて,今はアリスの丘で喫茶店を経営されておられることを知り,住所を知ることができたので,思い切って手紙を出してみました。これも,大学生の時。
森村さんの作品を読んで,大きな感銘を受けたこと。
特に「ゴンにもらった首飾り」に惹かれたこと。
その舞台が自分が住んでいる街でもあること。
外国人が急に増えて,ずいぶん様変わりしたけれども,自分は良い街だと思っていること。
自分が障害児教育を専攻していて,森村さんが施設に飛び込んでいった行動力に大きな感銘を受けたこと。
…などなど,詳細は覚えていませんが,そんなことを書いた気がします。

すると数日後,葉書でお返事をいただけました!

おてがみありがとうございます
「ゴンにもらった首飾り」
なつかしい本のこと
ありがとうございます
大久保がよい街で
うれしいです。

という文章に,森村さんの似顔絵つきで。
これは,今でも私の宝物です。

その後,年賀状など,機会あるたびにお手紙や葉書を差し上げていました。
そのお返事の中で,
「本を読んでくれて嬉しいです。
でも今は,(アリスの丘に)絵を見に来て下さい。」
といった言葉をいただきました。
なので,ぜひ一度行かなきゃ…と思いつつ,東京に住んでいて車がない身で,軽井沢の駅からもちょっと離れたところにあると,なかなか足が向きませんでした。
でも,群馬に引っ越してからは,今度は,「近くにあるからいつでも行ける」と思い,結局,行かずじまいで,今に至ってしまいました。
うーん…教訓です。
やらない人は,いつでもやらないなりの言い訳を作るんです。
遠いから,行けない。
近いから,いつでも行ける(だから行かない)。

だからこそ,2004年の永眠のニュースには,凹みました。
だって,森村さんから,「思い立ったら理屈抜きで行動する」生き方を学んだはずだったし,実際,自分はずいぶん変わったと思ったのに,その「森村さんに会いに行く」ことについて,行動しないで,永遠に実現できなくなってしまったのですから!

アリスの丘は,森村さんの心であふれたお店でした。
そして,お店の方と,森村さんのご主人に事情をお話ししまして,お線香をあげさせていただきました。
そして,森村さんのレシピ通りに今も作られているケーキをいただきました。
(お世辞抜きで,かなり,おいしかったです。)

遅くなりすぎてしまいましたが,でも,行けて良かったです。

アリスの丘のHPは,こちらです。
http://alicenooka.hp.infoseek.co.jp/

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コメント

なんて奇遇なんでしょう!
以前(今は仕事の本は結構買いますが)は本など読んだことのなかった私が、角川映画の全盛期、原田知世が主演したことがきっかけで読んだ森村桂さんの作品だけはほとんど読みました。
 同じ感性を持っているかもしれませんね。
やはり角川映画の「転校生」がきっかけで山中恒の作品もほとんど読みました。

onoさん,コメントをありがとうございました。
それはそれは,奇遇ですね!
ぜひ,ゴンにもらった首飾りも,良かったら読んでみて下さいね。

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