人の話は鵜呑みにしろ
自分と違う考えに出会ったとき,私たちは,ついつい,「でも…」と言ってしまいます。
それって,例えば,「なるほど確かにそうですね。」と前置きをしていたとしても,実はまったく意見を聞き入れていなかったりします。
共感する意見に納得するのは,当たり前。
しかし,反対する意見に納得するのは,なかなか難しい。
それができることもまた,1つのトレーニングなのかもしれません。
そのための第一歩として,「納得」までできないのなら,納得していようがしていまいが,そのまま受け入れることから始めることも必要かなと思うのです。
とはいえ,これがなかなか難しいもんですけどね。←自分
ただ,私自身にとって幸いだったのは,聾教育という,手話だ口話だと,いろんな価値観が渦巻く中に身をおいて,たくさんのインタビューをこなしてこられたことです。
それも,学生の時に。
自分の考えとまったく異なる主張と出会うこともありました。
というか,自分自身が,模索中だったので,毎日のように,人に会う度に,いろんな価値観と遭遇しました。
でも,自分の意見と違ったとしても,まだ若輩者ですし,まずは聞いてみないことには,始まりません。
それになにより,インタビューは,自分の価値観を相手に説明する場ではなく,相手の価値観を引き出さないことには,データになりません。
そしてさらに重要なこととして,ただ単に事前に考えた質問項目を並べただけでは,相手はいろいろ話してくれないということもあります。
つまり,その話に,心から共感できていて,「なるほど!」と思ってうなずいてはじめて,相手が続きを話したくなる頷きができるわけです。
そのためには,単に相手の主張を「認める」ということではなく,相手の想いや考えを,相手の立場に感情移入して共感できなければいけないわけです。
それを,今日は口話主義の人,明日は日本手話導入を主張する人,…と,入れ替わり立ち替わり,行ってきました。
それぞれの主張を,どこかでまとめて整理する必要もあるわけですけど,そんなことは後だって良いのです。
その時その時には,目の前にいる人の論理や感情を,その人の視点,立場になって,共感すること。
調査を進めていく際には,これがとても重要でした。
そしてそれを実行してきた結果として,立場を換えて物事を見ていくことが,わりと得意になったのかなと思います。
望ましいのは,相手の話を,咀嚼して,飲み込むこと。
でも,それができないのなら,まずは,良い悪いの判断を後回しにして,まるごと鵜呑みにしてみることも大切ではないでしょうか。
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