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2007年9月 7日 (金)

入学前にしなければいけないこと(その4)コーディネーター探し

前回の書き込みから,すっかり時間がたってしまいました。
「入学前にしなければいけないこと」というタイトル,付けてみて失敗でした。
その1,その2,…と続いていき,なかなか「入学」にたどり着けません… (--;)
入学前にしなければいけないことが,いかに多いかに,今さらながら,気がついた次第です。
さて,聴覚障害学生支援にあたり,コーディネーターの役割が重要であることには,知識としては持っていました。
なので,(自分以外の)誰かにそれを担ってもらおうとは,思っていました。
しかし,それがいかに大変であるかということもわかっていましたから,自分がこなせる仕事量ではないな,とも思っていました。
今でこそ,専任のコーディネーターを職員として雇用している大学も増えましたが,学生が無償ボランティアで行っているところも少なくありません。
ある意味,ノートテイカーなどの情報保障者の方が,支援時間と業務がハッキリしている分,謝金が払いやすいんですよね。事務的には。
コーディネーターさんの仕事は,基本的には,聴覚障害学生が受ける授業と,テイカーの配置可能な時間のマッチングです。
時には,限られた予算の中での振り分けを課せられることもあります(群大では,全ての授業に配置しますので,これはありません)。
テイカーの都合がつかず,しかし授業は迫り,必死で電話やメールをかけまくることも日常茶飯事。
苦情引き受け係みたいな立場にもたたされます。
かなり時間をとられる上,精神的にもきついです。

さて,どうしようかと思っていたところで(正確には,それに先だって),本学の大学院に,聾教育を専門に研究したいという,ご両親が聾者の学生さんが入学予定になっていました。
大学院の合格が決まっており,入学に先立って,私のところに連絡を取ってくれていました。
まだ,聾教育のことはよく知らないという。
しかしなんともありがたいことに,『聾教育の脱構築』を書店で手にとって,それで群大を受験されたとのこと!
(ネコかぶっていたかどうかはともかく)実に礼儀正しく,誠実そうです。
親譲りで,手話もできます。
「これから,なんでも吸収していきたいです!」と,意気込み十分。
こんなにムシのいい話…いや,タイミングのいい話はありません。
コーディネーターをどうしようか?と考えるや否や,彼女の顔が頭をよぎりました。
そして,お願いしました。結果的には,それが大成功でした。

平成15年度の群大の情報保障を支えた立役者,ひでちゃん(なお,この名前での登場のさせ方については,本人に確認済)。
学生から見れば,頼れるおねえさん的な存在でした。
一方,本人にしてみれば,新しい大学に入ったばかりですから,内心は「頼られても困る」という思いだったでしょうし,必死だっただろうと思います。
でも,責任感が人一倍強い子だったので,頑張って,「頼れるおねえさん」であり続けたのだろうと思います。
また,新しい専門を学び始めたばかりではありながらも,「聴覚障害」について,今まで自分が知っていた「聾者」の世界とは異なる側面を学ぶことになりますから,確かに勉強にはなっただろうなと思います。

コーディネーターを決めたことで,4月以降の,授業時間に応じた情報保障のコマの割り振り作業に移れるようになりました。
割り振り作業とはつまり,聴覚障害学生が履修するどの授業に誰を支援者として割り当てるかを決める作業です。
ただ,本学の場合,全ての授業に情報保障者を配置するという発想で動いたので,情報保障がつかない講義をどうするか,といった問題で頭を悩ませる必要はなかったのだろうと思います。

これで一応は情報保障を行うための下地は整ったわけですが,とはいえ,実際は相当な負担をひでちゃんには課したように思います(今,振り返れば,ですが…)。
テイカーが来られなくなってしまい,その代わりが見つからない時,彼女がかわりにテイクに入ることも,決して少なくありませんでした。
後に障害学生支援室ができあがって専門の職員が雇用されるようになるまでの1年間,意地でも,「テイクがない」という状態を作らないようにし続け,本当に重責を果たしてくれたと思います。

ひでちゃんは,私が足を向けて眠れない学生の1人です。
ありがとう!

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