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2007年7月 6日 (金)

入学式までにすべきこと(その1)

平成15年,教育学部に聴覚障害学生が入学しました。
その直前の半月程度の間に行った,わずかながらも,しかし今思い返すと決定的に重要だったことを,思い出しながら書いてみたいと思います。

「聴覚障害のある学生が入学するかもしれない」ということを,現実味のあることとしてきちんと意識したのは,入学試験が終わって,「合格者の中に聴覚障害者がいる」という情報を得てからでした。
今思うと,当時の教務係長さん,3月中に必要なことをきちんと手配してくれたなあと思います。
「受験生に聴覚障害者がいる」というだけでは,単純に競争率からすれば,落ちる可能性の方が高いわけですから,動きにくい。
でも,「合格者に聴覚障害者がいる」という情報は,意味がずいぶん違います。
入学する可能性が高いことを前提に,他大学の聴覚障害学生支援の現状について,ウェブサイトなどを通じて,いそいでいろんな情報をチェックし始めました。
そして,本人が入学手続きに表れたら,私の研究室を訪ねてもらうように,教務に伝えておきました。
当時,たまたま私が障害児教育講座の教務委員だったので,公的にも,私が担当者だったわけです。
聴覚障害児教育が専門で,情報保障についても一応の知識を持っている私が,たまたまその時,障害児教育講座の教務委員であったこと,そして聴覚障害学生が障害児教育専攻に入学してきたこと,これも今思うと,すごく良くできた偶然です。
私は今年で群馬大学に赴任してから8年目になりますが,教務委員だったのは2年間だけですから。
今だったら,全学的な障害学生支援を担当する立場にあるので,どの学部・専攻に障害のある学生が入学しても,私が関与することになりますが,当時はそういうわけでもありませんでしたから,本当にタイミングが良かった。

そして入学手続きの当日,当人が,おかあさんと一緒に,研究室にやってきました!
研究室で話をして,こんなことがわかりました。
・ずっとインテグレーションで育ってきたため,手話はできない。
・高校までは情報保障がまったくつかなかった。
・ノートテイクやPCテイクについては,インターネットなどで見たことがあり,ぜひ利用してみたい。
・手話については,大学に入ったら勉強したいと思っている。
自分でネットで調べたりする世代であることに,新鮮な驚きを感じつつ,お母さんがそばにいながらも,自分のことは自分でハキハキと話す様子に,ちょっと頼もしさを感じたように思います。

さて,これで,「学生本人からの要望があった」という形で,堂々と(?),学内の関係者に働きかけられるようになったわけです。
たしか,3月の15日頃。
本当に,待ったなしのタイミングですよね。

1つ,印象深く覚えているエピソードを。
博士課程の時の後輩に,障害学生支援に精通している人がいました。
今や,「日本の聴覚障害学生支援にこの人あり!」といった,押しも押されぬ第一人者,白澤さん。
その白澤さんに,群馬大学に聴覚障害学生が入学することになったことを電話で相談しました。
まだ彼女が筑波大の技官をしていた時でした。
その時の返事の中で,こんなことをおっしゃったのです。
「3人のキーパーソンがそろった大学は,上手くいきます。1人は,専門的な立場で,テキパキ動ける教員。まあ,これは金澤さんってことになりますよね。そしてもう1人は,きちんとしかるべき時に動いてくれる,力のある先生。そして残る1人は,まめに動いてくれる事務の方。ぜひ,この2人にあたる人を味方につけて下さい。」
4年以上前のことですから,細かい文言は覚えていませんが,だいたいこんな感じのことでした。
うーん…なるほど。
今思っても,上手く言い得ています。
そして群馬大学では,まさにこの条件に上手く合致したと言えるかもしれません。

さて,これから,残り15日間で,ノートテイカー探しなどに追われることになるわけです…

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